皆さん、こんにちは。
今回はE90のヘッドカバーガスケット交換の紹介です。
(新品のヘッドカバーガスケット)
E90 6気筒モデルのN52エンジンですが、今回オイル漏れ修理の為ヘッドカバーガスケットの交換を行いました。
M54エンジンに比べ、ヘッドカバーガスケットからのオイル漏れはしにくくなっているのですが、珍しくオイルが漏れていました。
なぜこんな事に・・・(-ω-??
原因はさて置きで取敢えず作業を進めていくと、このオイル漏れの原因がすぐに判明しました。
この写真をご覧下さい。
そう、これです。
取り付けボルトが折れてしまっていたのです・・・(=д=!?
しかも4本も・・・(-ω-;{Why?}
実はこのボルト・・・アルミ製で再使用不可のボルトになります。
※. つまり、ヘッドカバーガスケット交換時に常に新品取替えするってことです。
N52エンジンでは、ヘッドカバーに限らず色々な箇所にアルミのボルトが使われています。
何故アルミのボルトを使うのか?ですが、その理由は単純明快で軽いからです。
鉄に比べ約1/3の重さなんです。
え~・・・ボルトの重さなんて誤差でしょ?って思うかも知れませんが、塵も積もれば何とやらなんでしょう。
BMWに一体いくつのボルトが使われているか定かではありませんが、トータルで考えると結構な違いが出てくるんだと思います。
このあたりの軽量化の努力もあって、最近のBMWは燃費がよろしくなっているんでしょう。
(そこだけの理由じゃないですけど・・・)
しかし、このアルミ化は軽量化というプラス要素だけでは無く、鉄に比べた場合の強度が低いというマイナスの要素も持っています。
更に細かく説明すると、鉄とアルミでは金属としての特性も異なります。
アルミは鉄に比べて変形しにくい特性を持っています。
変形しにくいため、許容範囲の加重がかかった際の剛性は鉄よりもアルミが優れています。
一見してこのアルミの特性は全てにいいようにも感じますが、変形しにくいという特性は時にマイナス要因として働くことがあります。
その1つがボルトを締めるという状況。
鉄は力が加わったときに延びて変形する性質があるので多少強く締めすぎても大丈夫なのですが、アルミは鉄に比べて延びにくい性質な為に過度な加重を加えると破損してしまいます。
BMWのオイルパンはアルミ製なのですが、ドレンボルトを強く締め過ぎるとオイルパン側のネジ山を破損してしまうため、トルクレンチを使ってきっちり決められた加重で締めなければならないと言われているのはこれと同じ理由ですね。
(今では当たり前な話ですが、当時はアルミ製のオイルパンは珍しく、破損を怖がって外車NGっていう量販店さんも結構いました。)
アルミ素材はこのようにシビアな部品になりますが、BMWでちゃんと耐久テストもろもろ行なったうえで実用化しているので、ユーザー側が過度に神経質になることはありませんので安心してください。
ただ、このあたりの事情を知らないまま作業されると、最悪ケースとして今回のような状況に陥るとも限りませんので、BMW専門店での作業をお勧めします。
その点、私達はBMW専門のサービススタッフですから安心して作業をお任せください(>ω<b
BMWは車の性能を追求した結果、アルミ、樹脂、カーボンなど軽くて強い素材を取り入れ進化を続けてきています。
私達もBMWに携わる技術屋として、その進化に遅れることの無いように慢心することなく日々精進していかなければならない。
それでは皆さん、また次回お会いしましょう!!
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